法改正情報INFORMATION

令和10年度中に週10時間以上で雇用保険を適用へなどの今後の見直しの方向を示す(厚労省)

2024.01.11(木曜日)

厚生労働省から、「雇用保険部会報告」が公表されました(令和6年1月10日公表)。
これまでに、その素案や案を紹介していましたが、今般、その結果が取りまとめられ、正式に報告がありました。

この報告には、今後の雇用保険制度等の見直しの方向が示されていますので、確認しておきたいところです。
<雇用保険部会報告で示された主な見直し事項>
□ 週所定労働時間20時間未満の労働者に対する『雇用保険の適用拡大』
□ 正当な理由のない自己都合離職者への基本手当の給付制限期間の見直し
□ 教育訓練給付の拡充
□ 教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設
□ 出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するための育児休業給付の給付率の引上げ
□ こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付の創設
□ 育児休業給付を支える財政基盤の強化
なお、報道などで特に注目を集めているのは、『雇用保険の適用拡大』です。
詳細は、次のとおりです。
<雇用保険の適用拡大の方向>
現在、週の所定労働時間が20時間以上の雇用労働者を適用対象としている雇用保険制度について、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028(令和10)年度中に施行することとすべきである。

施行に向けては、雇用保険制度適用の意義や重要性、メリット等について十分な理解を得られるよう、労使双方に対して丁寧な周知を行うべきである。また、新たに雇用保険制度の適用対象となる労働者のより安定的な就業が促されるよう、能力開発や雇用管理改善等に取り組む事業主への支援を行うとともに、中小企業の事業主をはじめとして追加的な事務負担が生じることを踏まえ、事業主の負担軽減に資する申請手続きの簡素化やオンライン化を一層進めるなど、受給資格者の増加に対応すべく業務効率化等を着実に進めるべきである。

厚生労働省では、この報告書の内容を踏まえ、令和6年通常国会への法案提出に向け、法案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定としています。
引き続き、今後の動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。


<労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告>
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107715_00006.html

過重労働による健康障害を防ぐために(抜粋版)を公表

2024.01.09(火曜日)

厚生労働省から、「過重労働による健康障害を防ぐために(抜粋版)」が公表されました(令和6年1月4日公表)。

過重労働による健康障害の防止のためには、時間外・休日労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進等のほか、事業場における健康管理体制の整備、健康診断の実施等の労働者の健康管理に係る措置の徹底が重要とされています。

また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが必要とされています。

この「過重労働による健康障害を防ぐために(抜粋版)」では、それらの内容を、図を交えてわかりやすくまとめています。

詳しくは、こちらをご覧ください。


<過重労働による健康障害を防ぐために(抜粋版)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37223.html

令和6年1月から一部の届書レイアウトを変更 新様式や記入例のダウンロードも開始(日本年金機構)

2024.01.05(金曜日)

日本年金機構から、「令和6年1月から一部の届書レイアウトを変更します」とのお知らせがあったことはお伝えしていましたが、令和6年を迎え、新様式や記入例のダウンロードも開始されました(令和6年1月4日公表)。

令和6年1月から変更となった届書(健康保険・厚生年金保険)は、次のとおりです(船員保険・厚生年金保険のものは、ここでは省略)。


●健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届

●健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届

●厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届

●厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届

●国民年金第3号被保険者 ローマ字氏名届

●個人番号等登録届


これらの届書について、「申請・届書様式」(新様式や記入例を紹介したページ)のリンクが紹介されています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<【事業主の皆さまへ】令和6年1月から一部の届書レイアウトを変更しました>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202401/0104.html

労働条件の明示等に関する改正職業安定法施行規則についてQ&Aを公表(厚労省)

2024.01.05(金曜日)

求人企業・職業紹介事業者等が労働者の募集を行う場合・職業紹介を行う場合等には、募集する労働者の労働条件を明示することが必要ですが、職業安定法施行規則が改正され、令和6年4月1日からは、新たに次の事項についても明示することが必要となります。


1.従事すべき業務の変更の範囲

2.就業の場所の変更の範囲

3.有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)


この改正職業安定法施行規則に関するQ&A〔令和5年12月時点版〕が公表されていますので、ご確認ください。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<令和5年改正職業安定法施行規則Q&A(労働条件明示等)〔令和5年12月時点版〕>
https://www.mhlw.go.jp/content/001183267.pdf

令和6年4月からの労災保険率 業種平均で引き下げへ 労政審が改正省令案を妥当と答申

2023.12.27(水曜日)

厚生労働大臣は、労働政策審議会に対して、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行っていましたが、令和5年12月26日、同審議会から、いずれも妥当であるとの答申があったということです。

この改正省令案要綱は、事業主が支払う労災保険料の算出に用いる労災保険率の改定などを主な内容としています。そのポイントは、次のとおりです。

1. 労災保険率を業種平均で0.1/1000引き下げる(4.5/1000 → 4.4/1000)。
……全54業種中、引下げとなるのが17業種、引上げとなるのが3業種となっている。

2. 一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定する。
……全25区分中、5区分で引下げとなっている(引上げとなる区分はなし)。

3. 請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)を改定する。

厚生労働省では、この答申を踏まえて、令和6年4月1日の施行に向け、速やかに省令の改正作業を進めることとしています。詳しくは、こちらをご覧ください。

<労災保険料算出に用いる労災保険率の改定等を行います>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37107.html

「年収の壁・支援強化パッケージ」における「社会保険適用促進手当」および「事業主の証明による被扶養者認定」のQ&Aが改正されました(日本年金機構)

2023.12.27(水曜日)

日本年金機構から、事業主の皆さまに向けて、「年収の壁・支援強化パッケージ」における「社会保険適用促進手当」および「事業主の証明による被扶養者認定」のQ&Aが改正されたとのお知らせがありました(令和5年12月27日公表)。

これらのQ&Aの更新日(改正日)は、令和5年12月25日。いずれも、改正箇所が破線で示されていますので、ご確認ください。詳しくは、こちらです。

<【事業主の皆さまへ】「年収の壁・支援強化パッケージ」における「社会保険適用促進手当」および「事業主の証明による被扶養者認定」のQ&Aが改正されました>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2023/202312/1227.html

協会けんぽの令和6年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限 30万円で変更なし

2023.12.27(水曜日)

協会けんぽ(全国健康保険協会)から、「令和6年度の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限」について、お知らせがありました(令和5年12月25日公表)。

協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額は、健康保険法により、次の①②のうち、いずれか少ない額とされています。

①資格を喪失した時の標準報酬月額
②前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日時点における全ての協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

このため、毎年度②の額が、任意継続被保険者の標準報酬月額の上限となります。その②の額が、令和6年度においても「30万円」になるということです(令和5年度から変更はありません)。

なお、協会けんぽの一般の被保険者の方で、傷病手当金・出産手当金の支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない方にも、それらの手当金の支給額の計算に、この「30万円」が用いられることがありますが、その金額についても変更はありません。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<令和6年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について>
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r5-12/51225_01/

令和6年度税制改正における住宅ローン減税の制度変更のご案内(国交省)

2023.12.27(水曜日)

令和5年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正の大綱」において、住宅ローン減税の制度変更等が盛り込まれました。その概要について、国土交通省からお知らせがありました。

<税制改正の概要(今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります)>

1 住宅ローン減税
○借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることで、令和4・5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持する。
○新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和6年12月31日(改正前:令和5年12月31日)に延長する。

2 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
○受贈に係る適用期限を3年間(令和6年~8年)延長する。
○非課税限度額が1,000万円に上乗せされる「良質な住宅」の要件について、新築住宅の省エネ性能要件をZEH水準(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)とする。

3 既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置
○適用期限を2年間(令和6年~令和7年)延長する。
○子育て世帯・若者夫婦世帯が子育てに対応した住宅への一定のリフォームを行う場合についても、本特例措置の対象に追加する
(適用期間:令和6年4月1日~令和6年12月31日)。

来年の年末調整では、この変更後の制度の適用を受けた社員が出てくるかもしれませんね。補足的な知識として、概要は知っておきたいところです。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<住宅ローン減税の制度内容が変更されます!~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~>
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000189.html

年休や選択的週休3日制に関するページをリニューアルなど(働き方・休み方改善ポータルサイト)

2023.12.18(月曜日)

「働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省の委託事業)」では、企業の皆様が自社の社員の働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報を提供しています。
このサイトから、次のようなお知らせがありました(令和5年12月15日公表)。
「年次有給休暇の計画的付与制度」については、本検定の学習内容の補足としてご覧いただくと理解が進むかと思います。

・年次有給休暇取得促進特設サイトをリニューアルしました。

・「年次有給休暇の計画的付与制度」のページを公開しました。

・「選択的週休3日制」のページをリニューアルしました。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<年次有給休暇取得促進特設サイトをリニューアルしました>
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/

<「年次有給休暇の計画的付与制度」のページを公開しました>
https://work-holiday.mhlw.go.jp/planned-granting/

<「選択的週休3日制」のページをリニューアルしました>
https://work-holiday.mhlw.go.jp/case/?action_kouhyou_caseadvanced_fourdayworkweek=true

雇用保険制度全般について見直しの方向を示す 労政審の雇用保険部会が報告

2023.12.14(木曜日)

厚生労働省から、令和5年12月13日に開催された「第189回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」が公表されました。
今回、「雇用保険部会報告(素案)」が提示され、その内容が話題となっています。

この報告(素案)は、令和5年9月以降、雇用保険部会で進められてきた雇用保険制度全般についての議論を踏まえて、「見直しの方向について結論を得た」ということで、まとめられたものです。
主に、次のような項目について、見直しの方向が示されています。

●週所定労働時間20時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大
●正当な理由のない自己都合離職者への基本手当の給付制限期間の見直し
●教育訓練給付の拡充
●教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設
●出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するための育児休業給付の給付率の引上げ
●こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付の創設
●育児休業給付を支える財政基盤の強化

多岐に渡る内容が示されていますので、「雇用保険部会報告(素案)」には、目をとおしておきたいところです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<第189回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36817.html