法改正情報INFORMATION

「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(令和7年5月)」を公表(国税庁)

2025.06.02(月曜日)

国税庁から、「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(令和7年5月30日)」が公表されました。

これまでにもお伝えしてきましたが、令和7年度税制改正により、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が行われました。

今回公表されたのは、これらの改正のうち、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に関する事項を、Q&Aとして取りまとめたものです。

たとえば、次のような質問と回答が取り上げられています。

□ 年調年税額を計算する上での注意点(Q&A4-1)

Q 令和7年12月に行う年末調整での税額計算において注意する点を教えてください。

A 令和7年12月に行う年末調整の税額計算において、注意する点は以下のとおりです。

① 「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の改正
 「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が改正されました。
 令和7年12月に年末調整の計算をする際には、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用してください。
 (注)改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」は、国税庁ホームページに令和7年8月末頃に掲載する「令和7年分年末調整のしかた」に掲載予定です。

② 基礎控除額(改正後)の控除
 基礎控除額が改正されましたので、従業員から提出を受けた基礎控除申告書を基に、基礎控除額を控除してください。

③ 特定親族特別控除額の控除
 特定親族特別控除が創設されましたので、従業員から提出を受けた特定親族特別控除申告書を基に、特定親族特別控除額を控除してください。

④ 本年分の毎月の徴収税額の合計額と年調年税額との差額の取扱い
 本年分の毎月の徴収税額の合計額が年調年税額よりも多いときには、その差額(過納額)は、その過納となった人に還付します。
 過納額が生じた場合には、その過納額を年末調整を行った月分(通常は本年12月分。納期の特例の承認を受けている場合には、本年7月から12月までの分。)として納付する「給与、退職手当及び弁護士、司法書士、税理士等に支払われる報酬・料金に対する源泉徴収税額」(以下「徴収税額」といいます。)から差し引き、過納となった人に還付しますが、年末調整を行った月分の徴収税額のみでは還付しきれないときは、その後に納付する徴収税額から差し引き順次還付します。
 なお、還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても過納額を還付しきれないと見込まれる場合については、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を作成し、所轄税務署に提出することで、過納額の還付を受けることができます。

 

令和7年度税制改正による年末調整の変更点などについて、国税庁の現時点における見解を知ることができますので、早めに確認しておくようにしましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(令和7年5月30日)>
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025005-051.pdf

〔確認〕令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等に関する専用ページはこちらです。
このQ&Aのほか、各種様式(現時点では、一部の様式案を掲載)、パンフレットなども紹介されています。
<令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について>
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

[令和7年3月26日公布]介護(補償)等給付の最低保障額の改定

2025.05.30(金曜日)

●労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和7年3月26日厚生労働省令第22号)

労災保険の介護(補償)等給付について、最低保障額が改定されました。また、労災就学援護費について、一部の区分の額が改定されました。

〔令和7年4月1日から施行〕

 

公布された法令等の情報

□ 公布された法令等のタイトル

・労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和7年3月26日厚生労働省令第22号)

データ※注https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H250327K0140.pdf

※注 厚生労働省法令等データベースのデータ(一定期間経過後に削除されることがあります)

□ 趣旨等

労災保険の介護(補償)等給付の最低保障額の改定、労災就学援護費の一部の区分の額の改定などを行うもの。

介護(補償)等給付の最低保障額の改定については、次のとおり(今回、最高限度額については、据え置き)。

⑴ 常時介護を要する方

・最高限度額:月額177,950円(改定なし)

・最低保障額:月額81,290円-改定→月額85,490円

⑵ 随時介護を要する方

・最高限度額:月額88,980円(改定なし)

・最低保障額:月額40,600円-改定→月額42,700円

□ 施行期日

令和7年4月1日

労災保険の介護(補償)等給付の最高限度額の改定を盛り込んだ改正省令案の要綱等を公表(労政審の労災保険部会)

2025.05.30(金曜日)

厚生労働省から、令和7年5月29日に開催された「第116回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料が公表されました。

この部会において、「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問が行われています。

この改正省令案には、労災保険の介護(補償)等給付の最高限度額の改定などが盛り込まれています。


〔確認〕介護(補償)等給付の最高限度額・最低保障額

介護を要する程度の区分に応じ、次の額とする。

1.常時介護を要する方
・最高限度額:月額177,950円―改定案→月額186,050円(令和7年8月に改定予定)
・最低保障額:月額85,490円(令和7年4月に改定済み)

2.随時介護を要する方
・最高限度額:月額88,980円―改定案→月額92,980円(令和7年8月に改定予定)
・最低保障額:月額42,700円(令和7年4月に改定済み)


詳しくは、こちらをご覧ください。

<第116回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58301.html

[令和7年3月28日公布]高年齢者雇用確保措置に関する経過措置の終了に伴う省令・告示の改正

2025.05.30(金曜日)

●高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(令和7年3月28日厚生労働省令第30号)
●高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の一部を改正する件(令和7年3月28日厚生労働省告示第84号)

高年齢者雇用確保措置に関する経過措置が令和7年3月31日をもって終了することを踏まえ、高年齢者雇用安定法に係る省令・告示(指針)について、所要の改正を行うこととされました。

〔令和7年4月1日から施行・適用〕

[令和7年3月28日公布]令和7年度における国民年金の給付・保険料、厚生年金保険の保険給付の改定など

2025.05.30(金曜日)

●国民年金法施行令等の一部を改正する政令(令和7年3月28日政令第106号)

国民年金の給付・保険料、厚生年金保険の保険給付などについて、令和7年度の価額などに関する事項が定められました。

〔令和7年4月1日から適用〕

106万円の壁の撤廃などの被用者保険の適用拡大、在老の見直し、遺族年金の見直しなどを盛り込んだ年金制度改正法案 国会に提出

2025.05.19(月曜日)

令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。これは、今国会に提出されるのか否かが話題になっていた年金制度改正法案です。

その概要は、次のとおりです。

Ⅰ 働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直し

1 被用者保険の適用拡大等

① 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃するとともに、企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃する。
② 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の適用事業所とする。※ 既存事業所は、経過措置として当分の間適用しない。
③ 適用拡大に伴い、保険料負担割合を変更することで労働者の保険料負担を軽減できることとし、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を制度的に支援する。

2 在職老齢年金制度の見直し

一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げる。

3 遺族年金の見直し

① 遺族厚生年金の男女差解消のため、18歳未満の子のない20~50代の配偶者を原則5年の有期給付の対象とし、60歳未満の男性を新たに支給対象とする。
これに伴う配慮措置等として、5年経過後の給付の継続、死亡分割制度及び有期給付加算の新設、収入要件の廃止、中高齢寡婦加算の段階的見直しを行う。
② 子に支給する遺族基礎年金について、遺族基礎年金の受給権を有さない父母と生計を同じくすることによる支給停止に係る規定を見直す。

4 厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ

標準報酬月額の上限について、負担能力に応じた負担を求め、将来の給付を充実する観点から、その上限額を65万円から75万円に段階的に引き上げる(※)とともに、最高等級の者が被保険者全体に占める割合に基づき改定できるルールを導入する。
※68万円→71万円→75万円に段階的に引き上げる。

 

Ⅱ 私的年金制度の見直し

① 個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限を70歳未満に引き上げる。
② 企業年金の運用の見える化(情報開示)として厚生労働省が情報を集約し公表することとする。


Ⅲ その他

① 子のある年金受給者の保障を強化する観点から子に係る加算額の引上げ等を行いつつ、老齢厚生年金の配偶者加給年金の額を見直す。
② 再入国の許可を受けて出国した外国人について、当該許可の有効期間内は脱退一時金を請求できないこととする。
③ 令和2年改正法附則による検討を引き続き行うに際して社会経済情勢の変化を見極めるため、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整を、配慮措置を講じた上で次期財政検証の翌年度まで継続する。

 

<施行期日>

令和8年4月1日(ただし、Ⅲ③は公布日、Ⅰ1③は令和8年10月1日、Ⅰ4(68万円へ引上げ)は令和9年9月1日、Ⅰ1①(企業規模要件)は令和9年10月1日、Ⅰ1①(賃金要件)・Ⅱ①は公布から3年以内の政令で定める日、Ⅰ4(71万円へ引上げ)は令和10年9月1日、Ⅰ3・Ⅲ①は令和10年4月1日、Ⅰ4(75万円へ引上げ)は令和11年9月1日、Ⅰ1②は令和11年10月1日、Ⅲ②は公布から4年以内の政令で定める日、Ⅱ②は公布から5年以内の政令で定める日)


この改正法案については、当初は盛り込まれていた「いわゆる基礎年金の底上げ」が削除されていることなどで、反発している野党もあり、審議が難航することが予想されています。今後の動向に注目です。詳しくは、こちらをご覧ください。

<社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案>
・概要:https://www.mhlw.go.jp/content/001488402.pdf
・法律案要綱:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf
・法律案新旧対照条文:https://www.mhlw.go.jp/content/001488227.pdf

なお、厚生労働省は、この改正法案に関する専用のページを設けて周知を図っています。こちらをご確認ください。

<年金制度改正法案を国会に提出しました>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

健康保険等の被扶養者の認定に関する通達の改正案について意見募集 19歳以上23歳未満の被扶養者(配偶者を除く)に係る認定基準を「150万円未満」へ(パブコメ)

2025.05.19(月曜日)

「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について(案)」について、令和7年5月16日から、パブリックコメントによる意見募集が開始されています。

意見募集が開始されたのは、健康保険等の被扶養者の認定に関する通達の改正案で、令和7年度税制改正において、現下の厳しい人手不足の状況における就業調整対策等の観点から、19歳以上23歳未満の者への特定扶養控除の要件の見直し及び特定親族特別控除の創設が行われたことを踏まえたものです。

具体的には、認定対象者の年間収入に係る認定要件のうち、その額を130万円未満とするものについて、当該認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円未満として取り扱うこととするものです(適用予定は、令和7年10月1日から)。

詳しくは、こちらをご覧ください。意見募集の締切りは、令和7年6月15日となっています。

<19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について(案)に関する御意見の募集について>
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495250041&Mode=0

「令和7年度税制改正」をまとめたパンフレットを公表(財務省)

2025.04.30(水曜日)

財務省から、「令和7年度税制改正(令和7年3月)」パンフレットが公表されました(令和7年4月28日公表)。これは、令和7年度税制改正を盛り込んだ「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年3月31日法律第13号)」などが成立したことを受けて、その内容を分かりやすくまとめたものです。

令和7年度税制改正では、物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げが行われ、その上で、低~中所得の方の税負担への配慮から、基礎控除の特例として、所得額に応じた上乗せが行われます。また、就業調整対策の観点から、大学生年代の子等に係る新たな控除の創設も行われます。

そのほか、老後に向けた資産形成を促進する観点から、確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo)の拠出限度額等の引上げ、成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すための中小企業経営強化税制の拡充などが行われます。これらにより、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応することとしています。

企業実務を行ううえでも重要である「所得税の基礎控除の控除額・給与所得控除の最低保障額の引上げなど」についても、そのポイントが簡潔にまとめられています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<パンフレット「令和7年度税制改正」(令和7年3月発行)>
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei25.html

令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について 国税庁が専用ページを設け各種情報を掲載

2025.04.28(月曜日)

令和7年度税制改正により、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が⾏われました。

この令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について、国税庁が専用ページを設け、各種情報を公表しました。

このページでは、「改正の概要」、「令和7年分の年末調整」、「令和8年分以後の給与の源泉徴収事務」について、パンフレット、各種様式(「変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)」)、FAQ(準備中)などの各種情報が掲載されています。

令和7年分の所得税について、令和7年12月に行う年末調整の際には、これらの改正規定が適用されることになりますので、早めに確認しておくようにしましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について>
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

まずは、こちらのパンフレットを確認しておくとよいと思います。

<令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)(令和7年4月)>
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf

また、同日、こちらも公表されましたので、紹介しておきます。

<令和7年4月 源泉所得税の改正のあらまし>
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2025kaisei.pdf

時間外・休日労働協定届の本社一括届出などについて新たな通達を公表(厚労省)

2025.04.25(金曜日)

厚生労働省から、労働基準局の新着の通知(令和7年4月24日掲載)として、次の3つの通達が公表されました。

<時間外労働・休日労働に関する協定の本社一括届出について(令和7年3月28日基発0328第8号)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0020.pdf

<就業規則の本社一括届出について(令和7年3月28日基発0328第9号)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0010.pdf

<一年単位の変形労働時間制に関する協定の本社一括届出について(令和7年3月28日基発0328第7号)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0030.pdf

時間外・休日労働協定届、就業規則届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届については、本社一括届出を行うことが可能ですが、いくつかの要件があります。

その要件が改めて整理されていますので、確認しておきましょう。

なお、時間外・休日労働協定届(36協定届)の本社一括届出については、次のような留意事項も通達されています。

□ 協定の締結に当たっては、各事業場の実態に即して労働時間を延長して労働させることができる時間数又は労働させることができる法定休日の日数等(以下「延長時間等」という。)を設定する必要があることから、単に各協定の内容を同一とすることを目的として、各事業場における実態によらずして延長時間等を定めることは望ましくないものであること。