法改正情報INFORMATION

年金制度における子や配偶者に係る加算 子は拡充・配偶者は縮小の方向性を示す(社保審の年金部会)

2024.12.04(水曜日)

厚生労働省から、令和6年12月3日に開催された「第22回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。今回の議事は、「年金制度における子に係る加算等について」と、「その他の制度改正事項について」です。ここのところ、次期年金制度改革に向けて、年金部会から立て続けに重要な論点に関する方向性が示されていますが、今回の議事に係る論点も報道などで話題になっています。

そのポイントは、次のとおりです。

●年金制度における子に係る加算等について
公的年金制度においては、子や配偶者のいる世帯に対して、生活保障を目的としてその扶養の実態に着目し、子や配偶者に係る加算を行っている。子に係る加算としては、障害年金・遺族年金ではそれぞれ障害基礎年金・遺族基礎年金の子に係る加算、老齢年金では老齢厚生年金(加給年金)として支給額を加算している。
子に係る加算の支給額は、第1子・第2子が234,800円、第3子以降は78,300円とされており、第3子以降への加算額が第1子・第2子に比べて少ない。

このような現状について、多子世帯への支援の強化(第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化する)や、子に係る加算のさらなる拡充といった方向性が示されています。その一方で、配偶者に係る加算(老齢厚生年金の配偶者加給年金額など)については、女性の就業率の向上に伴う共働き世帯の増加など社会状況の変化等を踏まえ、配偶者に係る加算の役割は縮小していくと考えられることから、「現在受給している者への支給額は維持した上で、将来新たに受給権を得る者に限って支給額について見直すことを検討する」といった縮小の方向性が示されています。

●その他の制度改正事項について
国民年金保険料の納付猶予制度について、被保険者の対象年齢の要件は現行どおり(被保険者が50歳未満であること)とし、令和12年6月までの時限措置を5年間延長し、令和17年6月までとする方向性が示されています。

今後の動向に注目です。詳しくは、こちらをご覧ください。

<第22回 社会保障審議会年金部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241203.html

令和7年度の協会けんぽの保険料率 中長期的な視点を踏まえつつ水準を検討(協会けんぽ)

2024.12.03(火曜日)

協会けんぽ(全国健康保険協会)から、令和6年12月2日に開催された「第132回 全国健康保険協会運営委員会」の資料が公表されています。

今回の議題にも、前回に引き続き、令和7年度の保険料率に関するものが含まれています。

資料として、令和7年度保険料率に関する論点を整理したものが公表されていますが、それによると、協会の財政構造に大きな変化がない中で、今後の収支見通しのほか、人口構成の変化や医療費の動向、後期高齢者支援金の増加等を考慮した中長期的な視点を踏まえつつ、令和7年度及びそれ以降の保険料率のあるべき水準が模索されています。

基本的には、できる限り長く、現在の平均保険料率10%を超えないようにしていきたいと考えられているようです。
参考:支部評議会における意見
① 平均保険料10%を維持するべきという支部……36支部(昨年度40支部)
② ①と③の両方の意見のある支部……10支部( 〃 6支部)
③ 引き下げるべきという支部……1支部( 〃 1支部)

今後の動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<第132回 全国健康保険協会運営委員会の資料を掲載しました>
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat720/r06/003/241202/

賃金のデジタル払い 指定資金移動業者の資産保全規制の見直しを検討(内閣府・規制改革推進会議のWG)

2024.11.29(金曜日)

内閣府から、令和6年11月28日に開催された「第3回 スタートアップ・DX・GXワーキング・グループ」の資料が公表されました。

今回の議題は、「賃金デジタル払いの社会実装促進によるキャッシュレス決済の拡大」です。

賃金のデジタル払いについては、これを取り扱うことができる資金移動業者に厳格な指定の要件が設けられています。

令和5年4月の改正労働基準法施行規則施行後、4社から指定申請があり、指定審査を行ったところ、令和6年8月9日、PayPay株式会社を指定資金移動業者として指定しましたが、残り3社については、引き続き指定審査を実施中だということです。

指定申請の検討を行った事業者からは、破綻時の資金保全(保証要件)に関する負担が重いとの意見が多く寄せられているというとで、指定資金移動業者の資産保全規制の見直しが検討されています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第3回 スタートアップ・DX・GXワーキング・グループ 議事次第>
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_02startup/241128/startup03_agenda.html

健康保険証の発行終了に伴う各種取扱いについてお知らせ(協会けんぽ)

2024.11.26(火曜日)

令和6年12月2日以降、健康保険証はマイナンバーカードを基本とする仕組みへ移行されます。

これに伴い、協会けんぽ(全国健康保険協会)から、令和6年12月2日前後に各種手続きを行った場合の健康保険証等の発行について、お知らせがありました(令和6年11月25日公表)。

そのポイントは次のとおりです。

① 日本年金機構へ協会けんぽ加入の手続きをされた方への健康保険証等の発行について
令和6年12月1日以前に被保険者資格取得届、被扶養者(異動)届を日本年金機構で受付した場合であっても、日本年金機構において同年12月2日以降に処理が行われた方については、健康保険証は発行されず、これに代わり「資格確認書」が発行されます。

② 協会けんぽへ健康保険証の再交付等の手続きをされた方について
令和6年12月1日以前に協会けんぽに保険証を発行する手続き(被保険者証再交付申請、任意継続被保険者資格取得届等)をされた方であっても、協会けんぽにおいて同年12月2日以降に処理を行った場合は、健康保険証は発行されず、これに代わり「資格確認書」が発行されます。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<健康保険証の発行終了に伴う各種お取扱いについて>
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/20241202/

なお、令和6年11月14日事務連絡(マイナ保険証移行にかかる過渡期運用における取扱い及びQ&Aについて)において、次のような運用の方針が示されており、上記は、それを踏まえたお知らせとなっています。

●令和6年12月2日以降は被保険者証を交付することはできません。

しかしながら、紙・電子媒体は11月29日まで、電子申請は12月1日までに受付し、12月2日以降に処理することとなる届書(以下「未処理の届書」という。)内には、健康保険証の利用登録が行われたマイナンバーカード(マイナ保険証)をお持ちでない方も含まれることが推測されるため、過渡期における被保険者の円滑な保険診療の確保の観点から、機構において未処理の届書内の全ての方を「資格確認書の発行が必要」として処理し、職権で協会が資格確認書を発行する運用とします。

マイナンバーカードの健康保険証への移行に伴う対応についてお知らせ(日本年金機構)

2024.11.26(火曜日)

令和6年12月2日以降、健康保険証はマイナンバーカードを基本とする仕組みへ移行されます。

これに伴い、日本年金機構では、健康保険・厚生年金保険関係届書の一部の様式や本人確認書類の取り扱いが変更されるということで、お知らせがありました(令和6年11月25日公表)。

特に、資格取得届、被扶養者(異動)届等の様式が変更され、「資格確認書発行要否」欄が追加されることに注意しましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<マイナンバーカードの健康保険証への移行にともなう対応について>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202411/1125.html

派遣労働者の待遇決定方式の一つである労使協定方式について 「賃金比較ツール(令和6年度・令和7年度適用版)」を更新・公開(厚労省)

2024.11.21(木曜日)

厚生労働省から、「賃金比較ツール(令和6年度・令和7年度適用版)」を更新・公開したとのお知らせがありました(令和6年11月20日公表)。

働き方改革関連法による改正派遣労働者法により、次の①または②のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇を確保することが、派遣元事業主の義務とされました(令和2年4月1日施行)。
①派遣先均等・均衡方式 → 派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保
②労使協定方式 → 一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保

上記のうち、②の「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金(一般賃金)」と同等以上であることが要件となっていますが、今回、更新・公開されたのは、協定対象派遣労働者の賃金が、一般賃金と同等以上かをチェックするためのツールです。

必要であれば、ご確認ください。
<「賃金比較ツール(令和6年度・令和7年度適用版)」を更新・公開しました>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html
※このページのNEWマーク参照

「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)」を公表(厚労省)

2024.11.21(木曜日)

厚生労働省から、「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)」が公表されました。

このQ&Aは、令和6年11月1日に公表されたものですが、次の問の回答の一部に修正が加えられています。
□ Q2-22(子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充/個別の周知・意向確認について)」
□ Q4-1(介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等/介護離職防止のための個別の周知・意向確認について)

大幅な修正ではありませんが、ご確認ください。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)>
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001325224.pdf

令和6年9月開催の「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」のアーカイブを公開(働き方・休み方改善ポータルサイト)

2024.11.18(月曜日)

「働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省の委託事業)」では、企業の皆様が自社の社員の働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報を提供しています。

このサイトから、シンポジウム・セミナー情報として、「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」のアーカイブを公開したとのお知らせがありました(令和6年11月15日公表)。

このシンポジウムでは、2019年4月から企業の努力義務となっている勤務間インターバル制度について、その重要性や企業が取り組むことによるメリット、取組を進めるためのポイント等について、先進事例とともに解説されています(2024(令和6)年9月19日開催)。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」のアーカイブを公開しました>
https://work-holiday.mhlw.go.jp/seminar/

「被用者保険の適用拡大」「年金制度における「年収の壁」への対応」などについて 議論すべき論点を整理(社保審の年金部会)

2024.11.15(金曜日)

厚生労働省から、令和6年11月15日開催の「第20回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。

今回の議事は、「被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について」と「脱退一時金について」です。

提出された資料では、議事となっている各テーマについて、これまでの主な意見や、今後議論すべき論点などが整理されています。

たとえば、被用者保険の適用拡大のうち「短時間労働者に対する適用拡大」に関しては、以下の要件の撤廃について、議論すべきとされています。

●労働時間要件(週の所定労働時間が20時間以上)
・雇用保険の加入対象の拡大に伴い、本要件を引き下げるべきであり、将来的には撤廃を目指すことも必要。
・本要件の引下げについては、被用者であるというのはどういうことか、使用者責任とは何かという観点、医療保険の実務や国民健康保険に及ぼす影響が大きいこと等から慎重な検討が必要。

●賃金要件(賃金が月額8.8万円(年収約106万円相当)以上)
・就業調整できないくらいの水準まで本要件を引き下げるべき。
・最低賃金の上昇や働き方に中立的な制度の構築の観点から本要件を設ける必要性は乏しく、撤廃すべき。

●企業規模要件(従業員50人超)
・雇用形態、勤務先の企業規模や業種によって被用者保険の適用の有無が変わることは不合理であり、本要件を撤廃すべき。
・本要件の撤廃にあたっては、経営に与える影響を踏まえた経過措置や支援策による配慮及び事業主の負担を価格に転嫁することが必要。特に、事務手続の面での合理化等による支援には速やかに取り組む必要。

また、第3号被保険者制度については、「これまで被用者保険の適用拡大を進めてきており、今回の更なる被用者保険の適用拡大や「年収の壁」への対応により、第3号被保険者制度が更に縮小の方向に向かっていくこととなるが、それでもなお残る第3号被保険者についての制度の在り方や今後のステップをどのように考えるか」が論点とされています。

年末に次期年金制度改革の方向性を取りまとめる予定とされており、その動向から目が離せません。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第20回 社会保障審議会年金部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241115.html

令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します(厚生労働省)

2024.11.08(金曜日)

「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)」により、高年齢雇用継続給付の支給率が、「最高15%」から「最高10%」に引き下げられることになったことを覚えているでしょうか?

その施行期日(令和7年4月1日)が近づいてきたこともあり、この度、厚生労働省から、「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」とのお知らせがありました(令和6年11月8日公表)。

当該支給率は、具体的には、次のように適用されます。


●60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が、

・令和7年3月31日以前の方……各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給

・令和7年4月1日以降の方……各月に支払われた賃金の10%(改正後の支給率)を限度として支給


この改正について、リーフレットも公表されていますので、確認しておきましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00043.html