厚生労働省は、令和6年7月31日、全国の労働局や労働基準監督署が、令和5年にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の状況を取りまとめ、公表しました。
そのポイントは、次のとおり。
●監督指導を実施した事業場は3,711事業場。
このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、3,049事業場(82.2%)。
また、改善基準告示*違反が認められたのは、1,999事業場(53.9%)。
*「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)
●主な労働基準関係法令違反事項は、
①労働時間(46.9%)、②割増賃金の支払(21.2%)、③労働時間の状況の把握(8.0%)。
●主な改善基準告示違反事項は、
①最大拘束時間(39.2%)、②総拘束時間(30.7%)、➂休息期間(28.1%)。
●重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは54件。
同省では、引き続き、自動車運転者を使用する事業場に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努めるとともに、法令違反の疑いがある事業場に対しては監督指導を実施するなど、自動車運転者の適正な労働条件の確保に取り組んでいくこととしています。
また、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど重大・悪質な事案に対しては、送検を行うなど厳正に対応していくということです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和5年の監督指導、送検等の状況を公表します
令和6年7月25日に開催された「第69回 中央最低賃金審議会」で、令和6年度の地域別最低賃金額改定の目安について、答申の取りまとめが行われ、その内容が厚生労働省から公表されました。
この答申のポイントは、次のとおりです。
●ランクごとの目安
地域別最低賃金額〔時給で表示されるルールとなっている〕の各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク50円、Bランク50円、Cランク50円。
(注)都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をA~Ⅽの3ランクに分けて、引上げ額の目安を提示。現在、Aランクは東京都などの6都府県、Bランクは茨城県などの28道府県、Cランクは沖縄県などの13県となっています。
全国加重平均の上昇額は50円となりますが、これは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。これを引上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)となります。
仮に目安どおりに改定されると、令和6年度の地域別最低賃金額は、全国加重平均額で1,054円となります(現在は1,004円)。
これを、地域別(都道府県別)にみると、最も高い東京都が1,163円、最も低い岩手県が943円となります。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります(適用は、令和6年10月頃から)。
なお、昨年度は、目安を上回る改定が相次ぎ、全国加重平均は、目安では1,002円でしたが、実際には1,004円に引き上がりました。
ひとまず目安は決定されましたが、今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41785.html
厚生労働省が運営するサイト「育MEN(イクメン)プロジェクト」から、「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正ポイントのご案内」を掲載したとのお知らせがありました(令和6年7月4日公表)。
その内容は、厚生労働省のリーフレットとほぼ同じで、深いところには触れられていませんが、スッキリとポイントが分かる構成となっています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正ポイントのご案内>
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/kaisei_point/
●育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年5月31日法律第42号)
男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずることとされ、育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正されました。
〔令和7年4月1日から施行(例外もあり、公布日から段階的に施行)〕
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
令和6年6月12日に、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)」が公布されたことはお伝えしました。
この改正法は、こども未来戦略の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実行するため、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進に資する施策の実施に必要な措置を講じるとともに、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるための子ども・子育て支援特別会計を創設し、児童手当等に充てるための子ども・子育て支援金制度を創設するものです。
改正事項が多岐に渡りますが、そのうち、雇用保険制度の改正に関するもの*について、その改正内容全般を紹介する資料が、厚生労働省から公表されました。
*子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律による雇用保険制度関連の改正
・育児休業給付の給付率引上げ(令和7年4月1日施行)
・育児時短就業給付の創設(令和7年4月1日施行)
・子ども・子育て支援特別会計の創設(令和7年度に創設)
詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和6年雇用保険制度の改正内容について(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)>