給与計算実務暦10年というベテランでありながら、初心にかえって基本から学び直し、見事給与計算実務能力検定試験2級に100点満点で合格されて業務に活かしていらっしゃるS様にお話を伺いました。
私は今年で50歳になりますが、給与計算実務歴は10年ほどです。キャリアからするとそれほど長くないかもしれませんが、給与計算という仕事との関わりはかなり古く、1991年に3,000人規模、関連会社8社という会社が業務経験のスタートでした。当時は汎用機器に専任のキーパンチャーが在籍して、各営業所から大きなフロッピーディスクでデータをもらって打ち込むなんてことをやっていましたが、今となっては懐かしいスタイルの業務を行っていたものです。
そこで4年ほど勤務したのですが、「給与計算業務をさらに追及してステップアップしたい」と思い、転職することにしました。機器系に強いということもあって転職も無事成功し、給与計算業務に従事していたのですが、その後は社内異動もあってしばらく給与計算業務からは遠のいてしまいました。それでも、年末調整の時期になると必ず給与計算担当者に「今年の『年末調整のしかた』を一部もらっておいて・・・」とお願いして、もらった冊子の今年の変更点を確認して自分だけ手計算で年末調整を行うといったことをしていました。
今から4年7ヶ月前。100人規模の会社に転職し、再び給与計算業務を担当することになりました。入社日から2日間のみで引継ぎというタイトな状況に加え、15年以上のブランクはありましたが、3ヵ月後からは円滑に処理をこなせるようになりました。パソコンでの年末調整は初めてでしたが、不慣れな給与計算ソフトでも滞りなく業務が出来たのは、手計算での検算クセが身に染みていたおかげだと思います。仕組みから理解することの重要性を改めて認識することとなりました。
現在は300人規模の会社の給与計算業務をすべて任されていますが、2017年2月頃にインターネットで「給与計算実務能力検定」という資格試験があることを知りました。
せっかく業務としてこれまで給与計算に携わってきた身としては、このような資格を取って、自分の実務能力に箔をつけてもいいのではないかなと思ったのが受験を決めた理由です。
そして、受験するにあたり、自分としては業務で年末調整含め年間の給与計算業務をすべて任されている身ですので、1級試験からの受験でもいいかとも思いました。が、これまでの経験上、給与計算のミスというのはほとんどが初歩的なもので、そういったミスをなくすには、一定レベルでの合格よりもできる限り完璧を目指して合格すべきでは、と思いました。合格ラインに到達するための学習では、業務としての実力に穴があくこともあるのでは・・・と思えました。小さなミスをなくして、業務品質をより高めるには“基本から段階を踏んで着実に受験した方が実力になる”という思いで2級からの受験を決めました。
これまでの経験を「資格」という形に結実させることができましたので、今後のステップアップを考えた時に確実に武器にできると思います。また、今回100点満点で合格できましたので、この点も自信になりました。仕事は常に完璧とはいかなくとも、信頼性が求められる給与計算業務においては常に100%を保ちたいというプライドもありまして、そうした思いのひとつの証明とできたことも、今後への弾みになりました。
また普段の実務にもプラス効果があります。より確実な業務が可能になったことで、ミスが減り、クレーム対応や調整などに時間を費やすことがなく、業務効率が向上しました。ミスのない業務は、コンプライアンスの面からも好ましい循環を作っていると言えます。
また講座で使用した「対策講座テキスト」は時々見返すことで身についた知識を再確認することが出来ますので、給与計算業務のマニュアルにもなり、重宝しています。もちろん法改正や制度改正を意識しなければならないという部分もありますが、ずっと使えるテキストだと思います。
2級受験を決意した3月頃、書店で見つけた「給与計算実務能力検定2級公式テキスト2016年度版」を購入し、日々の電車通勤中のスキマ時間に2回ほど目を通しました。その後、巻末の練習問題をコピーして、一度通しで問題を解き、公式テキストに間違った箇所をマーカーして、しばらく通勤時間にマーカーをつけた部分を見返していました。気が向いたら読むくらいの気軽な気持ちで、テキストをいつもカバンに入れておきました。
その後も巻末の練習問題を時々コピーしては問題を解くことを繰り返していました。在宅時、気分にあわせて1日10分から長くても60分、取り組むくらいでした。気ままに1日で1問だけなんて日もありました。
5月下旬。発行されたばかりの2017年度版公式テキストを購入し、同時に9月24日の2級模擬試験講座(通学講座)に申し込みをしました。
購入した2017年度版公式テキストは、2016年度版と比較して確認し、通勤中に繰り返し読みました。また2017年度版公式テキストの巻末の練習問題をコピーして、マイペースに何回も解くことを続けていました。
9月24日、神保町のセミナールームにて模擬試験講座を受講しました。終盤スピードが早いと感じる部分もありましたが、講師のポイントをおさえた解説は大変わかりやすかったです。
公式テキストでの独学でも間に合うかもしれませんが、やはりライブで講師からの解説を直接聞き、質問することが出来るのは、頭に入りやすく、非常に有意義でした。100点で合格できたのは、この模擬試験講座を通学で受講したことにあると断言できます。
また配布された模擬試験問題・レジュメ・対策講座テキスト・DVDを一度通しで確認し、試験日1週間前からはレジュメ・対策講座テキストを集中的に熟読しました。講座の教材は検定試験に的を絞って書かれているので、試験対策として有利になると思います。ですので、確実に2級合格したいなら、私は通学講座を受講するのを断然お薦めします。
“甲子園出場常連のあの強豪校が1回戦負け”
夏の季節の入口、夏の高校野球地方予選では、必ずやこのような見出しを目にすると思われます。
まるで給与計算とは関係ない内容ですが・・・
給与計算業務において必ず「ミス」というのはつきものです。
そして、その「ミス」というのは、経験上ほんとに初歩的なことがほとんどです。
住所や名前、所属等の書き間違えであったり、数字の転記ミスであったり、チェック漏れであったり・・・。
つまり、先の高校野球の話でもないですが、完璧だと思いきや初歩的な所で足をすくわれるのが給与計算業務であると、私は考えています。
同時に、給与計算とはミスがあってはならない業務でもあります。
給与は、従業員の生活に直結するものですから、給与を受ける従業員からすれば、間違いのない給与が当たり前、ミスがあると会社や給与担当への不信感が増してしまう、そういった確実性・信頼性を普通に求められるのが「給与計算」です。
だから常に基本を大事にしたいと思っています。
給与計算実務能力検定試験の2級試験を受けたことで、この基本の部分を振り返ることができ、自身の業務にしっかりとプラスになっています。
私は、2級試験を受験した直後に1級試験の勉強も開始しました。この検定試験は、給与計算担当者に確実に役に立つものであると思いますので、学習したことを実務に生かして、より精度の高い業務を行っていきたいと思います。
※掲載内容は2018年2月時のものです。