学生座談会STUDENT_ROUNDTABLE

※本記事は、2017年7月に「マイナビ 学生の窓口」で紹介された記事を転載したものです。

【専門家にきいてみた】社会人になる前に知っておくべきアレって!?

学生座談会 【専門家にきいてみた】社会人になる前に知っておくべきアレって!?

学生時代とは、思った以上に短いもの。いま大学生の人たちも、あと数年もすれば立派な社会人!

こないだ入学したと思っていたのに、部活やらサークルやらバイトやら満喫している間にあれよあれよと就活の時期がきて、ふ~~やっと内定出た~~~と思ったら今度は内定者研修やら卒論やらであっというまに気づいたら社会人、というわけです。

これって……ぶっちゃけ不安じゃないですか?

Q:将来社会人になるにあたって、不安がある?

将来社会人になるにあたって不安がある?はい68% いいえ32%

マイナビ学生の窓口調べ
調査日時:2017年7月 調査人数:大学生・大学院生・専門学校生男女406人

ですよね!!!!!

社会に出るって、やっぱなんか不安!!!

だって社会人の練習なんてしたことないし、具体的に日々どんなことをしてるのかよくわからないから(ただドラマとかみてるとなんか難しそうなことやってんなとは思う)、どんな能力があれば困らないとか、どうすれば自信をもって社会にでれるのかとか、とにかくよくわからなくて不安!!!

というのが学生にとっての実情ではないでしょうか???

そこで、「なんかよくわかんないけどとりあえず不安」というお悩みを少しでも解決すべく、専門家の先生にお話を聞いてみることにしました!

社会保険労務士:北條 孝枝先生

社会保険労務士:北條 孝枝先生
社会保険労務士とは、労働法や社会保険など、働く上で重要な「人」にまつわる法律・制度に関する指導を行うための資格。北條先生は、その資格を生かし、企業コンサルティングを担当。多くの企業からの相談を受け、より良い働き方が実現できるような提案を行っています。

不安の中身をひもといていこう

学生座談会の様子01

左から北條先生、山田さん、岡本さん、佐藤くん

北條 孝枝先生

「まずは皆さんの不安がどういったものなのか、ひも解いていきましょう。とりあえず何でもいいから、不安だと思っていることを挙げてみて!」

学生 山田

企業選びがとにかく不安で……。特に会社の『普段の雰囲気』って、実際に働いてみないとわからないと思うし、ネットとかで調べるのも限界があるし、どうすればいいのかずっと悩んでます」

学生 岡本

「私は金融系の業界を目指していて、その中でも総合職に就きたいと思っているのですが、『女性でもキャリアアップできるのか』というのが一番の不安です。やっぱり女性はなかなか昇進できないといううわさを耳にしたりもするので……」

学生 佐藤

「今教員を目標に動いているところなんですけど、それとは別にベンチャー系の企業が気になっていて、この先僕も同じように起業したいという考えもあるんです。ただ起業にチャレンジしてもいいのか不安です。なので起業する場合にどんなことが一番の壁になるのか今のうちに知っておきたいです」

悩める学生たちへの先生のアドバイスは!?

北條 孝枝先生

「まず山田さんの質問からね。おっしゃるとおり、HPや配布される資料だけでは会社の雰囲気ってなかなかわからないので、例えば会社見学やインターンなどを利用して、会社の雰囲気を直に感じてみるのがいいと思います」

学生 山田

「実際に飛び込んでみる、ということですね」

北條 孝枝先生

「最近は学生を歓迎している企業も増えているから、積極的に利用するべき!その他、実際に働いている大学OB・OGの方から話を聞くのもいいですね。OB・OG訪問はインターンと異なり、雰囲気だけでなくその企業の仕事の幅……例えば総務や人事といった間接部門の仕事などについても知ることができるのでおすすめです」

学生 山田

「来年会社見学やインターンの時期を迎えるので、気になっている企業のものは積極的に参加したいと思います!」

北條 孝枝先生

「次に岡本さんの不安について。今『働き方の多様化』を国全体でも進めていて、そういった女性のキャリアについても、各企業でさまざまな取り組みがされています。ただ、だから安心というわけではなく、先ほど山田さんにも話したように、実際にそこで働いている先輩にどういった職場環境なのか話を聞いてみるといいかもしれませんね!」

学生 岡本

「やっぱり実際に働いている人の声を聞くことが大事なのですね。ありがとうございます!」

北條 孝枝先生

「そして佐藤さんの不安なことですが、実際に大学生時代に起業し、それがきっかけで大成功させている人も多くいます。自分のやりたいことがはっきりしていて、将来こうしたいというビジョンがあるのなら、チャレンジするのもいいと思います。あとは同じビジョンを持ち、一緒に頑張ってくれる人がいると、なおいいですね」

学生 佐藤

「起業する場合、やっぱり一度どこかの企業で働くなりして、いろいろな経験を積んでおいたほうがいいですか?

北條 孝枝先生

「もし将来起業することを考えているならば、そうかもしれませんね。そうすると、そこを目標にした企業選びも重要になってくると思います。大企業だと業務が細分化・専門化されていることが多いですが、中小企業だと複数の仕事を兼任することもありますから、そうした面も考慮した会社選びをするといいのでは、と思います」

知っておくと差がつく! 誰もが手にしているアレに関する知識!?

北條 孝枝先生

「では、今度は社労士の私からみなさんに知っていて欲しいことを。それは、『きちんと会社の仕組みや法律を理解しておくこと』の大切さです」

学生 岡本

「会社の仕組みや法律……?」

北條 孝枝先生

「この知識があるのとないのとでは、社会人になってから大きな差が出てきますよ。例えば、皆さんは次の2つのお給料の計算について、どっちが正しいと思いますか?」

給与計算 どちらが正しい?
北條 孝枝先生

「どちらも時給は1,000円、時間外は25%の割増が付く条件で、50時間働いてそのうち5時間が時間外労働、という内容です」

学生 佐藤

「う~~ん……支給額は一緒だけど、基本給と時間外手当が違う……?」

学生 山田

「う~、どっちが正しいかなんて分かりません!」

北條 孝枝先生

「実はこれ、どっちも正しいんです(笑)。パターン1は働いた50時間の時給をまとめて計算し、25%の割増が付く部分だけを別に出しているもの。パターンBは、時間外労働5時間を除いた45時間分を計算し、それとは別に時間外労働5時間の分を時間外割増を踏まえて計算しています」

学生 山田

「なるほど……! 言われてみるとわかります!」

北條 孝枝先生

「そう、言われたらわかるけど、逆に言えば言われてみないと分からない。この例題はどっちも間違ってはいませんけど、もし間違っていたとしても、知識がないとどこが間違いなのか分かりませんよね

学生 佐藤

「う……確かに……」

北條 孝枝先生

「ふふふ。(笑)では次に、これなんてどうでしょう?皆さんアルバイトなどで見たことがあると思いますが……」

給与明細書
学生 岡本

「給与明細ですね!」

北條 孝枝先生

「そうですね。給与明細書は、「勤怠」「支給」「控除」という3つの要素で構成されています」

給与明細書の3要素
北條 孝枝先生

「それぞれについてどういったものなのか知識がないと、自分の給料の金額がどのように計算され、どんなお金が引かれているのか分からないままです。先ほどもお話しましたが、知識がないと間違いがあっても見抜けませんからね」

学生 岡本

「実は私、アルバイト先で給与明細について細かく説明を受けたので知っているのですけど、確かに知らないままだと支給額のところだけ見て終わりになってしまいそうです」

北條 孝枝先生

「もし明細の見方を知っているのなら、そこからさらに一歩踏み込んで、時間外労働時間の計算ルールや、時間外・休日労働の割増率、税金や控除されたお金がどのように納められるのかといった社会の仕組みなども知っておくと、より詳しく見ることができますよ」

学生座談会の様子02
学生 佐藤

「これまで何気なく見ていた給与明細ですけど、こんなにさまざまな情報が書かれていたんですね……。これからは細かい部分までちゃんと見てみよう」

北條 孝枝先生

「もちろんこうした給与明細に書かれていることだけでなく、働くにあたって契約内容もしっかりと確認しておくべきです。働くということは『雇用契約に基づいて労働すること』ですから、企業側はルールに沿った契約をしないといけません。そうした労働のルールに関する知識も付けておくといいですね」

ルールを知っておけば怖くない!

学生座談会の様子03
学生 山田

「『ブラック企業だったらどうしよう』という疑問もあって、企業選びについて不安があったのですけど、『労働のルール』を学んでおけば、そこまで不安になることはないかなって思いました」

学生 佐藤

「学生のうちにこうした知識をつけておくと、社会人として働く上ですごく助かりますね。起業するにあたっても知っておかないといけないルールでもありますし、ものすごく勉強になりました」

学生座談会の様子04
学生 岡本

「私も金融系の業界が目標なので、もっとお金や会社に関するルールを学びたいです。どのように勉強するのがいいですか?」

北條 孝枝先生

「それなら『給与計算実務能力検定』という検定を受けてみるのはどうですか?
今回お話した、賃金に関するルールを学ぶことができますよ!」

学生 佐藤

「そんな検定があるんだ!ただ勉強するよりも目標ができていいですね」

学生 山田

「でも私は文系なので、計算の多い検定は苦手かも……。岡本さんや佐藤君みたいに、その知識が役立つ業界じゃないかもしれないし……」

北條 孝枝先生

「ちょっとした計算をする必要はありますが、基本的にルールに関する知識が問われるものなので、文系・理系関係なくポジティブに学べますよ!それに金融業界だけでなく、お給料をもらう人なら全員に役立つ知識ですし、ブラック企業から自分の身を守るという意味でも役立つ資格です」

学生 山田

「そうなんですね! あのう、履歴書の資格欄にも書けたりしますか……?

北條 孝枝先生

「もちろん!就活時の自己PRにも使えますし、社労士など他の資格への足がかりにもなりますから、勉強してソンはないと思いますよ!」

まとめ

アルバイト等でもなじみのある給与明細書ですが、その内容をしっかりと把握し、自分の給料がどのように算出されているのか説明できる人は意外と少ないはず。給与明細をフックに、社会のさまざまなルールを学んでおけば、社会人になるにあたっての不安も少しは解消すること間違いなしです!

給与計算実務能力検定って??

給与計算実務能力検定って??

給与計算実務能力検定は、内閣府認可団体の『一般財団法人 職業技能振興会』と、『一般社団法人 実務能力開発支援協会』が実施している人事・労務分野の資格。企業や組織に必要な「給与計算業務」についての知識を判定し、実務能力への評価を与える検定試験です。受験資格はないため、誰でも受験可能。社会人になった際のキャリアアップにも役立ちます。