2024.12.11(水曜日)
厚生労働省から、令和6年12月10日に開催された「第15回 労働基準関係法制研究会」の資料が公表されました。
この研究会は、働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等の検討などを目的として設置されたもので、令和6年1月の初開催以降、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理などが行われてきました。
令和6年内に報告書が取りまとめられる予定ですが、今回の会議で、その案(「労働基準関係法制研究会報告書(案)」)が提示されました。報告書の主たる項目は、次のようなものとなるようです。
●労働基準関係法制に共通する総論的課題
1. 労働基準法における「労働者」について
2. 労働基準法における「事業」について
3. 労使コミュニケーションの在り方について
●労働時間法制の具体的課題
1. 最長労働時間規制(実労働時間規制)
2. 労働からの解放に関する規制
3. 割増賃金規制
報道などでは、労働からの解放に関する規制のうち「休日」について、次のような方向性が示されていることが話題になっています。
□ 長期間の連続勤務が生じる可能性がある休日の4週4休の特例を2週2休とするなど、連続勤務の最大日数をなるべく減らしていく措置の検討に取り組むべきである。
□ この点も考慮し、36協定に休日労働の条項を設けた場合も含め、精神障害の労災認定基準も踏まえると、2週間以上の連続勤務を防ぐという観点から、「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労働基準法上に設けるべきであると考えられる。
今後の動向に注目です。詳しくは、こちらをご覧ください。
<第15回 労働基準関係法制研究会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46833.html
2024.10.16(水曜日)
厚生労働省から、リーフレット「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」が公表されています。労働時間は毎日適正に把握し、それに基づいて賃金を計算し、支払うことが必要であるとし、労働基準法違反となる典型的な取り扱いや、ワンポイントアドバイスなどが紹介されています。
<このような取り扱いは、労働基準法違反です!!>
□ 勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている
勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、1日の時間外労働時間のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て(丸め処理)、その分の残業代を支払っていない。
□ 一定時間以上でしか残業申請を認めない
残業申請は、30分単位で行うよう指示しており、30分に満たない時間外労働時間については、残業として申請することを認めておらず、切り捨てた分の残業代を支払っていない。
□ 始業前の作業を労働時間と認めていない
毎朝、タイムカード打刻前に作業(制服への着替え、清掃、朝礼など)を義務付けているが、当該作業を、労働時間として取り扱っていない(始業前の労働時間の切り捨て)。
<ワンポイントアドバイス>
•労働時間における端数処理の例外として、1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものとして認められます。
•また、1日の労働時間について、一定時間に満たない時間を切り上げた上で、その分の賃金を支払うことは、問題ありません。
基本的な内容ですが、今一度確認しておきましょう。詳しくは、こちらをご覧ください。
<リーフレット 労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう(令和6年9月)>
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001310369.pdf
2024.08.20(火曜日)
厚生労働省から、令和6年8月20日開催の「第11回 労働基準関係法制研究会」の資料が公表されました。
この研究会は、厚生労働省労働基準局長が学識経験者の参集を求めて開催するもので、次に掲げる事項について調査・検討を行うこととされています。
①「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理
② 働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等の検討
今回の議題は、「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」。
公表されている資料では、これまでの議論を踏まえた労働時間制度等に関する課題が整理され、法制的・政策的な検討や対応の方向性などが示されています。
参考になる資料となっていますので、一読してみてはいかがでしょうか?
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第11回 労働基準関係法制研究会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42461.html
2024.08.09(金曜日)
賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。
これらの支払方法に加え、令和5年4月1日からは、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)もできることとされました。
この改正の施行後、これまで、資金移動業者の指定は行われていなかったのですが、令和6年8月9日、「PayPay株式会社」に対し、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号の規定に基づき、資金移動業者の口座への賃金支払いに関する厚生労働大臣の指定を行ったということです。
サービスの開始時期については、同社からの発表を確認して欲しいということです。
なお、賃金のデジタル払いについては、各事業場での労使協定の締結及び労働者本人の同意が必要となります。
〈補足〉賃金のデジタル払いに関する企業における手続としては、法令(労働基準法第24条、労働基準法施行規則第7条の2)においては、「労働者(本人)の同意」を得ることのみが規定されていますが、通達(賃金の口座振込み等について〔令和4年基発1128第4号〕)において、「労使協定の締結」も必要とされていますので、ご注意ください。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における 資金移動業者の指定>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41528.html
<給与デジタル払いに向けて厚生労働大臣からの指定を受領 年内にすべてのユーザーを対象に「PayPay給与受取」を提供開始予定(PayPay株式会社/プレスリリース)>
https://about.paypay.ne.jp/pr/20240809/01/
〔確認〕賃金のデジタル払い及び指定資金移動業者の詳細については、こちらでご確認ください。
「賃金の支払方法に関する労使協定の様式例」や「令和6年8月掲載のリーフレット」なども紹介されています。
<資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について(厚労省)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html
2024.04.25(木曜日)