法改正情報INFORMATION

地域別最低賃金 令和7年10月からの改定に向けた議論スタート

2025.07.11(金曜日)

令和7年7月11日、中央最低賃金審議会において、令和7年度の地域別最低賃金の改定(改定時期はおおむね令和7年10月)に向けた議論がスタートしました。

令和7年度の地域別最低賃金額の改定の目安については、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版(令和7年6月13日閣議決定)」及び「経済財政運営と改革の基本方針2025(同日閣議決定)」に配意した、調査審議を行うこととされています。

「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」では、最低賃金の引き上げについて、次のような方向性が示されています。


●最低賃金については、適切な価格転嫁と生産性向上支援により、影響を受ける中小企業・小規模事業者の賃上げを後押しし、2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続することとし、官民で、最大限の取組を5年間で集中的に実施する。

政府として、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」に定める、①地方の中小・小規模事業者にとって重要な官公需における対策等を含めた価格転嫁・取引適正化の徹底、②業種別の「省力化投資促進プラン」とそれに基づくきめ細かな支援策の充実と支援体制の整備を通じた中小企業・小規模事業者の生産性向上、③中小・小規模事業の経営者の方々の事業承継・M&Aに関する不安や障壁を取り払い、先々の経営判断を計画的に行うことができる環境の整備、④地域で活躍する人材の育成と処遇改善等の施策パッケージを実行する。

また、EU指令においては、賃金の中央値の60%や平均値の50%が最低賃金設定に当たっての参照指標として、加盟国に示されている。最低賃金の引上げについては、我が国と欧州では制度・雇用慣行の一部に異なる点があることにも留意しつつ、これらに比べて、我が国の最低賃金が低い水準となっていること及び上記の施策パッケージも踏まえ、法定3要素のデータに基づき、中央最低賃金審議会において議論いただく。

・・・以下、略・・・


今後、数回の議論を経て、令和7年7月下旬にも、中央最低賃金審議会としての目安額が示される予定です。昨年(令和6年度)を上回る引き上げが実現するのか、今後の動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第79回 中央最低賃金審議会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59482.html

<令和7年度 中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第1回)/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59484.html

地域別最低賃金「2020年代に全国加重平均1,500円」という政府方針は極めて高い目標 政府・地方自治体による適切な支援などが望まれる(経団連)

2025.07.10(木曜日)

経団連(日本経済団体連合会)の定例記者会見(令和7年7月7日)において、会長が、賃金引上げ・地域別最低賃金などについてコメントしています。

ここでは、地域別最低賃金に関するコメントの概要を紹介します。

□ 地域別最低賃金

〔今年度の地域別最低賃金の目安に係る審議が始まろうとする中、経団連の審議に対するスタンスを問われ、〕「骨太方針2025」に記載された「2020年代に全国加重平均1,500円」という政府方針の実現には、過去最高の2024年度(+5.1%)を大きく上回る引上げ(毎年度+7.3%)が必要であり、極めて高い目標と認識している。チャレンジングな目標を掲げ、最低賃金をできるだけ早く引き上げていくことの必要性は十分理解している。

政府には、目標の実現可能性を少しでも高めるべく、最低賃金引上げの影響を強く受けやすい地方の中小企業とその労働者といった当事者を含めた丁寧な議論を行うことを求めたい。

併せて、中小企業の賃金引上げ原資の安定的な確保に向けて、中小企業自身による生産性向上に加えて、政府・地方自治体による適切な支援、「適正な価格転嫁と販売価格アップの受入れ」の社会的規範化といった多方面からの環境整備を通じて、目標の実現可能性を高めていくことが望まれる。

2025(令和7)年度の地域別最低賃金の改定を巡る議論は、7月11日から、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会で始まります。

現在、全国加重平均1,055円となっている地域別最低賃金を、政府方針まで引き上げるためには、2025~2029年度の5回にわたる改定で、7%程度ずつ上げる必要がありますが、それが実現できるのか、動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<定例記者会見における筒井会長発言要旨(2025-07-07)>
https://www.keidanren.or.jp/speech/kaiken/2025/0707.html

20歳前の傷病による障害基礎年金の所得基準額の改定などに関する通達を公表(厚労省)

2025.07.09(水曜日)

厚生労働省から、年金局の新着の通知(令和7年7月7日掲載)として、「国民年金法施行令等の一部を改正する政令及び国民年金法施行規則等の一部を改正する省令の公布について(令和7年7月4日障発0704第1号・年発0704第1号)」が公表されました。

これは、20歳前の傷病による障害基礎年金及び特別障害給付金の支給を制限する所得基準額並びに障害・遺族年金生活者支援給付金の支給要件である所得基準額をそれぞれ1.54%引き上げる見直しなどを行うことを内容とする「国民年金法施行令等の一部を改正する政令(令和7年政令第253号」及び「国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第74号)」が公布されたことを受け、その内容を周知するためのものです。

たとえば、20歳前の傷病による障害基礎年金の所得基準額の改定については、令和7年10月1日から、それまでの「3,704,000円」が「3,761,000円」に、それまでの「4,721,000円」が「4,794,000円」に改められます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<国民年金法施行令等の一部を改正する政令及び国民年金法施行規則等の一部を改正する省令の公布について(令和7年7月4日障発0704第1号・年発0704第1号)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250707T0010.pdf

算定基礎届記載要領(記載例)の記載誤りについてお知らせ(日本年金機構)

2025.07.08(火曜日)

日本年金機構から、『算定基礎届等の提出のお願い(令和7年6月中旬から下旬にかけて事業所宛てに送付)』に同封している「算定基礎届記載要領(記載例)」の一部に記載誤りがあったとのお知らせがありました(令和7年7月7日公表)。

誤りの内容・修正の内容など、必要でしたらこちらでご確認ください。
<算定基礎届記載要領(記載例)の記載誤りについて>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202507/0707.html

令和6年度協会けんぽの決算見込み 6,586億円の黒字の見込み

2025.07.08(火曜日)

協会けんぽ(全国健康保険協会)から、「2024(令和6)年度協会けんぽの決算見込み」が公表されました(令和7年7月4日公表)。 

そのポイントは、次のとおりです。

<全体の収支状況>
2024年度は収入(総額)が11兆8,525億円、支出(総額)が11兆1,939億円、収支差は+6,586億円(前年度から1,923億円増加)。

<収入の状況>
収入(総額)は前年度から2,421億円増加。
・保険料収入は3,492億円増加。被保険者数及び賃金(賞与含む。)の増加が主な要因であり、それぞれの伸びは、被保険者数が前年度比+1.7%、標準報酬月額が前年度比+1.6%。

<支出の状況>
支出(総額)は前年度から497億円増加。
・保険給付費は1,040億円増加。加入者1人当たり保険給付費が増加(+1.2%)したことが主な要因。
・拠出金等は1,030億円減少。前期高齢者の医療給付費にかかる財政調整における報酬調整(導入の範囲は1/3)の導入により、前期高齢者納付金が減少したことが主な要因。
・その他の支出は487億円増加。協会システム基盤のリース満了やマイナンバーカードと健康保険証の一体化に対する対応等により協会事務費の執行額が増加したことが主な要因。

なお、協会けんぽの今後の財政については、当面、賃上げ等により標準報酬月額の増加は見込まれるものの、現在の不安定な世界情勢が我が国の経済社会に及ぼす影響が不透明であり、これまでのような保険料収入の増加が中長期的に継続するか予測が難しいこと、協会けんぽ加入者の平均年齢の上昇や医療の高度化等により保険給付費の継続的な増加が見込まれること、団塊の世代が後期高齢者になったことにより後期高齢者支援金が中長期的に高い負担額のまま推移することが見込まれること等に留意が必要とされています。

今後の保険料率の決定などにあたり、この決算の内容がどのように考慮されるのか? 
動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<2024(令和6)年度協会けんぽの決算見込みについて>
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r7-7/25070401/

いわゆる「スポットワーク」における留意事項等をとりまとめたリーフレットを作成 関係団体に周知等を要請(厚労省)

2025.07.07(月曜日)

厚生労働省は、いわゆる「スポットワーク」における留意事項等を取りまとめた労働者及び使用者向けのリーフレットを作成し公表しました。

それとともに、いわゆる「スポットワーク」の雇用仲介を行う事業者が加入する一般社団法人スポットワーク協会に対し、会員を通じた労働者及び使用者への当該リーフレットの周知等を要請しました(令和7年7月4日公表)。

使用者向けリーフレットでは、『「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理』として、「労働契約締結時における注意点」、「休業させる場合の注意点」、「賃金・労働時間に関する注意点」、「その他の注意点」がまとめられています。

たとえば、「休業させる場合の注意点」では、労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要があることが紹介されています。

同省では、今後もこのリーフレットを活用し、いわゆる「スポットワーク」における留意事項等の周知を図っていくこととしています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<いわゆる「スポットワーク」における留意事項等をとりまとめたリーフレットを作成し、関係団体にその周知等を要請しました>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59197.html

<いわゆる「スポットワーク」の留意事項等>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html

「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」 令和7年6月改訂版を公表(国税庁)

2025.07.03(木曜日)

国税庁から、「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」の令和7年6月改訂版が公表されました。

今回の改訂では、令和7年度税制改正の内容を盛り込まれています。

1-1、2-2、2-3、2-4、4-1が改訂されていますが、たとえば、改訂後の2-2は、次のとおりです。

問 前年に提出した扶養控除等申告書に記載した事項から異動がない場合とは、どのような場合をいいますか。

答 給与等の支払者に提出しようとする扶養控除等申告書に記載すべき事項の全てが、その給与等の支払者に前年に提出した扶養控除等申告書に記載した内容から異動がない場合(注)をいいます。

なお、所得の見積額に変動があった場合等のうち一定の場合には、異動がないものとして取り扱って差し支えありません(2-3参照)。

(注)
1 前年は源泉控除対象親族に該当していた親族が、本年は源泉控除対象親族に該当しない親族となる場合など、前年に提出した扶養控除等申告書に記載した事項について、本年は記載を要しなくなった場合は、異動があったものとなりますので、簡易な申告書を提出することはできません。

2 令和8年分以後の扶養控除等申告書には源泉控除対象親族に関する事項を記載することとなりますが、源泉控除対象親族のうち控除対象扶養親族に該当する人を有する場合に記載すべき事項は、令和7年分以前の扶養控除等申告書に記載すべき事項から変更ありません。このため、令和7年分以前の扶養控除等申告書に控除対象扶養親族として記載していた親族が令和8年分以後においても控除対象扶養親族に該当する場合で、その親族について扶養控除等申告書に記載すべき事項が令和7年分以前の扶養控除等申告書に記載した内容から異動がない場合には、異動がない場合に該当することとなります。

他の改訂箇所も含め、今一度確認しておきましょう。

詳しくは、こちらです。

<簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和7年6月30日)>
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024005-130_01.pdf

「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)」 令和7年6月改訂版を公表(国税庁)

2025.07.03(木曜日)

国税庁から、「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)」の令和7年6月改訂版が公表されました。

今回の改訂では、令和7年度税制改正の内容を盛り込まれています。

Q1、Q2、Q30、Q46が改訂されていますが、たとえば、改訂後のQ30は、次のとおりです。

Q 給与所得者の配偶者控除等申告書や給与所得者の特定親族特別控除申告書を提出する場合には、「親族関係書類」の提出又は提示をする必要がありますか。

A 給与所得者の配偶者控除等申告書や給与所得者の特定親族特別控除申告書(注1)を提出する場合には、「親族関係書類」の提出又は提示をする必要があります。

なお、国外居住親族である親族が源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族(注2)などに該当するため、扶養控除等申告書を提出する際に「親族関係書類」の提出又は提示をしている場合には、給与所得者の配偶者控除等申告書や給与所得者の特定親族特別控除申告書を提出する際に、「親族関係書類」の提出又は提示をする必要はありません。

(注1)「特定親族特別控除」は、令和7年分以後の所得税について適用されます。
(注2)令和7年分以前は「控除対象扶養親族」となります。

他の改訂箇所も含め、今一度確認しておきましょう。
詳しくは、こちらです。

<国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)(令和7年6月30日)>
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022009-107_02.pdf

令和7年分の年末調整のための各種様式を公表(国税庁)

2025.07.01(火曜日)

令和7年12月に行う年末調整においては、基礎控除の見直し、給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の創設、扶養親族等の所得要件の改正といった令和7年度税制改正による改正規定が適用されます。

この改正に伴い、たとえば、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の新設(兼用様式への追加)などの様式の変更も行われます。

国税庁では、先に、「変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)」として、主要な様式の案を紹介していましたが、この度、それらの確定版も含め、令和7年分の年末調整のための各種様式を公表しました(令和7年6月30日公表)。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和7年分年末調整のための各種様式>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/mokuji.htm

〔確認〕令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等については、早めにチェクしておくようにしましょう。
<国税庁の専用ページ>
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

令和7年の年金制度改正法 改正項目別の専用ページを新設 社会保険の加入対象の拡大についてなど(厚労省)

2025.06.30(月曜日)

令和7年の通常国会で成立した「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)」について、厚生労働省では、専用のページを設けて、その内容をわかりやすく説明しています。

〔確認〕年金制度改正法が成立しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

これに加えて、この度、次の改正項目について、それぞれ専用のページも新設(更新)されました。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<社会保険の加入対象の拡大について(NEW)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html

<在職老齢年金の見直しについて(NEW)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00022.html

<厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて(NEW)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00024.html

<遺族厚生年金の見直しについて(更新)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html

<将来の基礎年金の給付水準の底上げについて(NEW)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00023.html